70年代ピッツバーグの配車サービス~オーガスト・ウィルソン『ジトニー』

 ワシントンDCのアリーナステージでオーガスト・ウィルソン『ジトニー』を見てきた。ウィルソンのピッツバーグサイクル劇のひとつである。

 ジトニーというのはいわゆる白タク的なもので、70年代のピッツバーグでタクシーがカバーしていない黒人居住地区でこのジトニーステーションを運営している人々に関する話である。主人公のベッカー(スティーヴン・アンソニー・ジョーンズ)は当局から立ち退きをちらつかされているが、ジトニーステーションを続けようと頑張っている。

 この話も『フェンス』同様父と息子の関係に重点が置かれており、『フェンス』ほど有害な男らしさが息苦しい作品ではない…のだが、やはり男性性がテーマだ。『フェンス』同様、力のある作品だということはわかるのだが、どうもテーマに乗れなかった。けっこう英語が難しいので(私はアメリカの地方英語が一番苦手である)、ニュアンスがわかってないかもというところはあるのだが、おそらくこの手のすごくアメリカ的な芝居は、見慣れないとけっこう笑いどころがつかめないかも、という気もする。