カクシンハンはここ7年ですごく成長したのだと思った~『海辺のロミオとジュリエット』+ポストトーク

 東池袋アトリエファンファーレで『海辺のロミオとジュリエット』のリーディングを見てきた。2012年に書いた戯曲だということだ。

 とりあえず思ったのは、カクシンハンはここ7年ですごい成長したのだなということだ。この作品は『ロミオとジュリエット』を基本にマロリー・ブラックマン『コーラムとセフィーの物語』が入っており、さらに『タイタス・アンドロニカス』や『ハムレット』もちょっとずつ入っていて、東日本大震災後の原発事故や地下鉄サリン事件まで入っているのだが、全体的にいろいろ詰め込みすぎていてそれがあんまり有機的にしっかり処理されていないように思った。とくに性暴力とか生殖、穢れなどの非常にダークでショッキングなテーマについては、最近のカクシンハンのほうがだいぶ上手に扱えていると思う。豊かな感情表現で盛り上げるところは今のカクシンハンと同じなのだが、明晰さとか独創性という点では今のほうがずいぶんよくなっていると思う。

 

 終了後に伊澤高志さんのポストトークがあり、村上春樹の「壁と卵」の話から「ひげジュリ」などのパワーワードまで、いろいろ面白かった。もう少し長く話をききたかったようにも思う。