とても丁寧な作品だが、地味といえば地味~『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』(ネタバレあり)

 『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』を試写で見てきた。

www.youtube.com

 ロンドンの正統派ユダヤ教徒コミュニティのラビの娘で、アメリカで写真家の仕事をしているロニート(レイチェル・ワイズ)が、父の死の知らせにで帰国するところから始まる。ロニートは昔、同じコミュニティの出身であるエスティ(レイチェル・マクアダムズ)が好きだったのだが、同性愛や女性の自由な振る舞いを認めないユダヤ教コミュニティと折り合いがつけられずに出て行ったままになっていた。エスティはロニートの友人であるラビのドヴィッド(アレッサンドロ・ニヴォラ)と結婚し、敬虔なユダヤ教徒として暮らしていたが、再会して恋がまた燃え上がってしまう。

 

 大変丁寧に描かれた作品で、主演陣の演技はとても良いし、エスティとロニートの恋情が爆発する場面などは非常に情熱的なのだが、一方で私はこういうあまり笑うところのない丁寧な恋愛ものというのがそこまで得意ではないので、ものすごく好きかというとそうでもなかった。監督のセバスチャン・レリオは『ナチュラルウーマン』を撮った人で、前作もやはり丁寧な人間ドラマだったのだが、新作のほうがもうちょっとユーモアとかけれん味がなくなっている分、地味に感じられるところがあった。さらに終わり方については感覚が分かれるところだと思うのだが、『キャロル』みたいな微妙ながらも長調の和音で終わる映画の後に、こういうオープンすぎる終わり方の映画って面白いのかな…というところもちょっと疑問に思った。