ツボをおさえたロマンティックコメディ~本多劇場『十二夜』

 本多劇場で青木豪演出、オールメール十二夜』を見てきた。

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 美術などの方針としては以前から青木豪がやっているDステのオールメールシェイクスピアを踏襲した感じで、真ん中にお社がある一方、衣装などは洋風である。演出も笑いのツボをおさえた愉快なもので、爆笑できるドタバタ喜劇らしいところがたくさんある一方、ロマンティックなところもちゃんとある。2013年にやった『十二夜』を相当継承しているが、ドタバタとホロリとさせるところのバランスなどは前よりよくなっているように思った。

 今回の特徴としては、マルヴォーリオ(坪倉由幸)がわりと最初からオリヴィア(納谷健)に対してしつこい態度を示す一方、他の人たちには偉そうでけっこうつきあいにくくて不愉快そうな人である一方、サー・トービー(小林勝也)が飄々とした面白いおっさんで、オリヴィアのお屋敷の人たちの対比がはっきりしているというところがあるかと思う。一方、ヴァイオラ(前山剛久)が大変に女の子っぽい一方でセバスチャン(三好大貴)とかなり立ち居振る舞いや雰囲気が似ており、双子のきょうだいらしいのも良かった。

 一カ所ちょっと気になったのは、もとの台本では最後、オリヴィアとセバスチャンは電撃結婚するということになっているのだが、このプロダクションでは台詞が「婚約」に変わっていた。結婚はちょっと急すぎると思ったのかもしれないが、ここはめちゃくちゃなペースでいろんなことが進むというのがおかしいところなので、別に結婚のままでも良かったのでは…とも思った。