もうちょっとマシな画質で見たい…~シルヴィウ・プルカレーテ『テンペスト』(配信)

 クライヨヴァ国際シェイクスピア祭の配信でシルヴィウ・プルカレーテ『テンペスト』を見た。2012年に上演されたものである。ルーマニア語の上演で英語字幕がつく。

www.facebook.com

 これ、現在配信されているものの中ではたぶん相当に画質が悪いほうで、テレビ放映でぎりぎりくらい、どっちかというとアーカイヴレベルじゃないかと思うような映像である。動きや表情はあんまり見えないところが多いし、音(ゴミみたいにいろんなものが散らばった舞台で人が動くので、そういう人が立てる音が大事なのではと思う)が聞き取りにくいところもたくさんある。さらにわざとなのかもしれないが、片側からのカメラで撮るとえらく舞台が眩しくてさっぱりわからないところもあった。来日した時にプルカレーテの『リチャード三世』を見たことあるのだが、私の考えではあんまり撮影に向かないというか、美術コンセプトが非常にヨーロッパ的な空気感を大事にするもので、ライヴでないと楽しみづらい演出をする演出家ではないかと思う。雰囲気はつかめたが、正直、見るのが結構つらかったしあんまり理解できた自信がない。

 

 セットは誰かの屋根裏の物置みたいなごみごみしたもので、いろんなものが散らばっている。全体的に悪夢的で、プロスペローが居眠している間に断片的な夢を見ているような舞台だ。キャスティングはファーディナンドが女優、ミランダが男優というもので、ミランダの意図的に棒読みな台詞回しなどが異化効果を高めている。終わり方もものすごく不条理劇というか悪夢っぽい。演出じたいは面白そうだと思ったので、ライヴで見たい…