楽しいプロダクション~メトロポリタンオペラ『フィガロの結婚』(配信)

 メトロポリタンオペラの配信で『フィガロの結婚』を見た。『アイーダ』同様METライブビューイングシリーズではなく、1998年の上演を撮ったものである。フィガロブリン・ターフェル、スザンナがチェチーリア・バルトリ、ロジーナがルネ・フレミング、アルマヴィーヴァ伯爵がドウェイン・クロフト、ケルビーノがスザンヌ・メンツァー、指揮がジェームズ・レヴァイン(最近セクハラで解雇された)、演出がジョナサン・ミラーで、相当に豪華なスタッフを集めたものだ。

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 セットや衣装は18世紀風で、オーソドックスな時代劇になっている。『フィガロの結婚』は以前グラインドボーンのプロダクションを見たことがあるだけで、この時は60年代のスペインが舞台という設定だったので、こういう正攻法な演出で見るのは初めてだ。何しろ大変な豪華キャストでセットも音楽も素敵だし、わりと笑うところもあり、文句なく楽しめるプロダクションだった。続いて起こるトラブルに一喜一憂するフィガロの様子が声でも表情でも伝わってくるし、最後にスザンナとロジーナが入れ替わったトリックにフィガロが気付くところなどはかなり笑える。スザンナもロジーナも魅力的で、女性陣の助け合いも生き生きしている。スザンナとロジーナがケルビーノを女装させるところはみんなでふざけあう様子がとても可愛い。ただ、終盤でケルビーノがスザンナだと思い込んでロジーナに向かってふざけるところはちょっと大げさでやりすぎかもという気がした。

 ただ、90年代のものでやはりちょっと撮り方が古いかなぁと思われるところがある。また、なんか気まぐれなタイミングで英語字幕が出なくなることがあったので、それはちょっと困った。