『ロミオとジュリエット』2本立て(1)スペイン国立ダンスカンパニー『ロミオとジュリエット』(配信)

 スペイン国立ダンスカンパニーの『ロミオとジュリエット』をMarquee TVの配信で見た。ナチョ・ドゥアト振付で、2008年に来日もしたことあるらしい。ただ、2013年のプロダクションを撮ったものなので、振付や演出にマイナーチェンジはあるかもしれない。

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 セットは大変シンプルで、あまり家具とかは置かずに舞台を広く使うものだ。少々はしょっているところはあるものの、基本的に原作の話やプロコフィエフの音楽に忠実なのだが、私が見慣れているマクミラン版とはだいぶ違う。ジュリエットのキャラクターをしっかりさせているところなどはマクミラン版と同じ方針だと思うのだが、ロマンティックな感じのあるマクミラン版に比べるともう少し力強さ重視である気がする。序盤でロミオ、マキューシオ、ベンヴォーリオがふざけるところなどはちょっとアクロバットみたいな振付で、エネルギッシュな若者たちが元気を持て余しているみたいな感じがする。

 この演出は「マブ」(アラン・ファリエリ)というキャラクターがいるのが特徴だ。この「マブ」は一義的にはシェイクスピアのテクストにも出てくる「クイーン・マブ」なのだろうと思うのだが、男性で、口上を言ったり、いろいろな場面に出てきて狂言回しの役割をつとめており、象徴的な死のように見えることもあり、作家であるシェイクスピアのように見えることもある。不思議な役どころだが、アラン・ファリエリがシャープな踊りで時には不吉で時には優しく見えるマブを表現していて、この手のキャラクターとしてはうまくいっているほうだと思った。