ドラマティックな翻案~ハンブルクバレエ『幻想・「白鳥の湖」のように』(配信)

 ハンブルクバレエ『幻想・「白鳥の湖」のように』を配信で見た。ジョン・ノイマイヤーによる『白鳥の湖』の翻案である。

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 主人公がバイエルンの王ルートヴィヒ2世で、『白鳥の湖』は劇中劇になっているという構成だ。ルートヴィヒは同性愛者なのだが女性と結婚しなければいけないということについて悩んでいるようで、やはり同性愛者だったチャイコフスキーの作品で、かつ似たような境遇の人々が出てくる『白鳥の湖』に夢中になり、だんだん『白鳥の湖』の世界に飲み込まれていく。

 

 大変ドラマティックで、物語としてしっかりした翻案だ。最初は足場がいっぱいある宮殿みたいなセットで、どうも建設途中のノイシュヴァンシュタイン城らしい。しかしながら立派なお城や華やかなパーティの中でもルードヴィヒ(すごく史実の肖像画に顔が似てる)は非常に孤独そうに見える。全体的にちょっと悪夢というか夢のようなところもあり、最後、男性同士で踊ってルードヴィヒが亡くなってしまうところは非常に夢幻的に描かれている。読み替え方といい、劇的な演出といい、マシュー・ボーンの『白鳥の湖』の先行作だということがはっきりわかった。