パーディタもポーライナもわりと皮肉をかますのが良い~グローブ座『冬物語』(配信)

 グローブ座『冬物語』を配信で見た。2018年に上演されたもので、ブランチ・マッキンタイア演出である。

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 シチリアはちょっとオリエントな服装、ボヘミアは現代の衣装で、シチリアイスラーム圏とキリスト教圏の境だったことを示唆する形になっている。最後に羊飼い親子が貴人になるところではものすごく時代がかった衣装が使われている。グローブ座らしく小道具などは最小限なのだが、クマに襲われる場面で着ぐるみなどを使わないで絵ですませるのはちょっとどうか…と思ったら、レビューでも言われていた(やっぱりみんなクマが見たいから)。

 役者陣の演技は皆とても良く、笑うところもたくさんある演出で、とくにパーディタ(Norah Lopez-Holden)やポーライナ(Sirine Saba)のキャラが立っているのが良い。このプロダクションのパーディタはあまり理想化されていないくだけた近所のおねえちゃん風のキャラクターで、親しみやすいし、お祭りの場面ではちょっと皮肉をかまして笑わせるなど、ユーモアのセンスもある。シチリアの宮廷に着いた時にうっかり田舎の作法が出てしまって、慌ててお姫様のふりをするところなどは楽しい。一方でポーライナも強烈で、自己主張がはっきりしている。途中で「私はバカな女で…」などと言ったりするのだが、どう見てもこの台詞が皮肉で、全くそう思っていないのかよくわかるようになっている。ポーライナはだいたいどのプロダクションでも強烈なのだが、パーディタもポーライナも皮肉をかますようなキャラだというのはなかなか良いと思った。