あまり盛り上がらない民話の翻案~『白雪姫~あなたが知らないグリム童話~』

 アンヌ・フォンテーヌ監督『白雪姫~あなたが知らないグリム童話~』を見てきた。

www.youtube.com

 現代フランスを舞台とする『白雪姫』の翻案である。義母モード(イザベル・ユペール)が、美人で自分の人生の邪魔になる継娘クレール(ルー・ドゥ・ラージュ)を殺そうとするが、ひょんなことから助かったクレールは田舎の森でさまざまな男たちと出会い、人生を謳歌するように…という話である。モードが王妃、クレールが白雪姫、男達が7人のこびとに相当する。

 ただ、正直お話は全然盛り上がらない。全体的にクレールが男たちとセックスするだけみたいな感じで会話とか展開とかにはたいして気の利いたところがなく、ダラダラしている。クレールの心が解放されていく様子を描くならもっとそれがわかるようにしっかり台本を作らないといけないと思うのだが、田舎に来たのでクレールが羽目を外しているだけみたいに見えてしまう。イザベル・ユペールは出番が少なく、あまり役としても見所がなくて大女優の無駄遣いである。あと、これは完全に好みの問題なのだが、正直イザベル・ユペールみたいな女(イザベル・ユペールは最強の女性だと思うのだが…)が、可愛らしいとはいえまだ小娘感のあるルー・ドゥ・ラージュにあんなに嫉妬・執着するかねぇ…と思ってしまった。そのへんは台本でもっと説得力がある展開に持って行けたはずだと思うだが、あまり工夫がないので最後まで平板に「中年の継母は怖かった」みたいな感じで終わってしまう。