ちょっとセットに凝りすぎで撮影により見づらいところも~ウィーン国立歌劇場『オテロ』(配信)

 ウィーン国立歌劇場の配信でヴェルディオテロ』を見た。2018年3月18日上演のもので、指揮者はグリーム・ジェンキンズ、演出がクリスティーネ・ミーリッツである。

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 セットがやたら凝っている…というか、別に豪華な家具があるとかではないのだが(最後の寝室の場面ではデズデモーナが寝るベッドも出てこない)、後ろに投影の背景があったり、下にディスコにあるみたいな光る碁盤風の台が置かれていたり、けっこうモダンである。さらにひらひらするカーテンとか、監獄の格子みたいな網の壁とか、いろんなものが場面ごとに使われている。

 で、問題はこれがどう機能しているのか、撮影ではあんまりよくわからないことだ。最初はオっと思うのだが、だんだん「これはどういう効果を狙ってるんだ?」というところが増えてくる。全体的に照明が暗いところが多かったり、網の壁で視界が遮られる箇所があるということもあり、カメラがずいぶん寄るのだが、そのせいで舞台全体の様子がイマイチわからないところが多い。終盤でオテロとデスデモーナの間の緊張が高まるところなど、カメラが寄りすぎで「あれ、これステージ回転してる…のか?」みたいに、ちょっと考えないと何がどう見えるようになっているのか想像しづらいところがある。セットがそもそもあんまり効いてないのか、撮影の問題なのかはちょっと判断しかねる(レビューではセットがあんまり褒められてないので、美術プラン自体がイマイチだったのかもしれない)。歌はけっこう良く、とくにロベルト・アラーニャオテロは堂々たるものだと思った。オテロは大変な大役だそうで、カメラが寄りまくるせいでたまに首とかにすごい汗をかいているのが見え、化粧が流れないよう厚化粧気味にしている感じだが、ブラックフェイスにはしていない。