台本はいいが、ちょっと音質に不満が~ブラックアイド劇場『四つの署名』(配信)

 ブラックアイド劇場『四つの署名』を配信で見た。ニック・レインの脚色・演出によるシャーロック・ホームズの有名作の舞台化である。収録日が書かれていなかったのだが、2019年頃の上演を撮影したもののようだ。

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 セットは前回このカンパニーが配信した『ジェーン・エア』と同様、木枠のようなものをたくさん使ってヴィクトリア朝の家屋を表現したものである。たった6人の役者が取っ替え引っ替えいろんな役をやり、たまには演奏までつとめながらかなり入り組んだ話を上演するので、ちょっと慌ただしいところはある。音楽はけっこう豊富に使われている。

 台本は、前半部分についてはおそらくアーサー・コナン・ドイルの原作の香りを大事にしようとしすぎたせいで、小説の地の文を大部分活用していると思われるワトソン(ジョゼフ・デリントン)による語りが多い。このため、台詞で説明される箇所が多くてややもたついた印象を受けた。後半は説明が減ってテンポが良くなり、テムズ川の追跡のところなどはかなりワクワクするスピード感になっている。とくにこの作品はイギリスによるインドの植民地支配が重要な要素として出てくるのだが、インド系のキャラクターを活躍させることで植民地批判を織り込んでいるところがなかなか面白い。役者陣は皆良く、ホームズ役のルーク・バートンとワトソン役のジョゼフ・デリントンの息はぴったりあっているし、ひとりで女性役を全部演じているステファニー・ラザフォードや、警部をはじめとするいろんな役を演じているクリストファー・グローヴァーも良かった。

 

 ただ、音質にはかなり不満がある。音の質はかなり良くなく、全体的にもやっとしている。さらに音楽と台詞が両方あるところではやや聞こえづらい。音量の調整の問題なのか、場面によってかなり台詞がわかりづらいところがある一方、急に音が大きくなるようなところもある。