王道の演出~メトロポリタンオペラ『薔薇の騎士』(配信)

 メトロポリタンオペラの配信で『薔薇の騎士』を見た。ナサニエル・メリル演出、エド・デ・ワールト指揮によるもので、2010年の上演である。前に配信された2017年の上演とは演出などが全く違うものである。1969年からやっているロングセラー演出のリバイバルだということだ。

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 セットも衣装も極めて豪華で、奇をてらったところもない、大変豪華で王道の演出である。ルネ・フレミングが大変魅力的なマルシャリンで、円熟した女性の魅力を振りまいている。全体的にキャストがベテラン揃いであることもあり、笑うところはありつつわりと落ち着いた雰囲気で人間味を醸し出すような上演で、オクタヴィアン(スーザン・グレアム)やゾフィ(クリスティーネ・シェーファー)も若々しく突っ走るというよりは比較的大人っぽく見える。このところけっこうたくさん配信で見た中ではかなり王道の『薔薇の騎士』と言えると思うのだが、私はもう少し新しめの演出のほうが好みかなとも思った。