新国立劇場でピーター・シェーファーの『あなたの目』を見てきた。これは私が大好きな映画『フォロー・ミー』の原作である（私のツイッターのハンドルネームはこの映画からとっている）。
妻のベリンダ（小林聡美）の浮気を疑う会計士のチャールズ（野間口徹）が私立探偵のクリストフォルー（八嶋智人）を雇ったことから、ベリンダの孤独や夫婦仲の問題が明らかになる様子をユーモアを交えて描いた作品である。1960年代初頭の作品なので、チャールズに代表される年配世代の慣習にとらわれた生き方と、ベリンダに代表される若者たちの新しい文化がひょんなところで出会ったことで生じる軋轢が見て取れる作品になっている。ベリンダがハマっているホラー映画は、ひょっとすると今では古典扱いのハマーの映画かもしれない。
ベリンダがチャールズよりだいぶ若いというのがキーポイントなので、見る前は野間口徹より年上の小林聡美がベリンダ役で年上で大丈夫なのだろうかと思ったのだが、小林聡美がやたら若々しいせいであまり違和感はなかった…ものの、本来はもっと明らかに見た目で年齢差がわかる役者を使って、着るものとかも全然違う様子を明白に見せたほうがテーマは見えやすくなるのではないかと思った。八嶋智人のクリストフォルーは大変に芸達者で非常に良かったと思う。冒頭でちょっとクリストフォルーを天使と重ねるような演出があり、そりゃまあ天使ならホラー映画は嫌いだろうな…と妙に納得してしまった。
