シェイクスピア・バイ・ザ・シーが行った『タイタス・アンドロニカス』上演のオンライン配信を見た。ステファニー・コルトリン演出のものである。私が知っているだけで「シェイクスピア・バイ・ザ・シー」という劇団は4つもあるのだが、これはカリフォルニア州の劇団で、毎年海のそばで無料上演を行っている。
衣装などはけっこう時代劇風である。ゲートや小さいスロープなどがあるセットなのだが、このセットはあんまり良くないかもしれない…というのも、撮り方のせいなのか設置場所が広くないので仕方がないのか、かなりセットが狭くて役者の動きがあまり生きないように見える。また、全体的に役者が若く、ふつうなら壮年であるタイタスもかなり若くて若干、迫力に欠ける。暴力については、舞台の上でやるよりは舞台外の音で表現する方向性で、ミューシャスが死ぬところやラヴィニアの強姦については舞台の外からかなりイヤな感じの物音が聞こえてくることで想像させる演出をとっており、これは悪くない。ただ、こういう舞台外の音の演出が良い一方、音楽はちょっとわざとらしい感じがする。全体としては海のそばの小さい舞台で雰囲気は悪くないし、そんなにつまらないというわけではないのだが、正攻法すぎてやや迫力に欠けるかなという気がした。ただ、最初の口上で言っていたように、新型コロナウイルスのせいで準備がえらい大変だったらしいので、稽古不足がけっこう影響しているのかもしれない。
