ファッショナブルでモダンな上演~ウィーン国立歌劇場『オーランドー』(配信)

 ウィーン国立歌劇場で2019年に初演されたオペラ『オーランドー』を見た。これはヴァージニア・ウルフの『オーランドー』が原作で、作曲家がオルガ・ノイヴィルト、演出がポリー・グレアム、衣装が川久保玲というものである。オーランドー役は『アグリッピーナ』のネローネだったケイト・リンジーだ。

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 お話は途中まではだいたい原作に沿っているが、終盤、小説が書かれた時点より以降はいろいろ付け加えがある。音楽はだいたい設定の時代のスタイルに合わせて変わっていく感じだが、けっこう現代的で、とくに終盤は現代のポップスなども取り入れられている。体のラインを無視したアヴァンギャルドなファッションにプロジェクションをたくさん使った凝った上演で、とくにオーランドーがロシアのお姫様サーシャ(アグネタ・アイヒェンホルツ)と会うところではもっふもふのキツネ(サーシャはキツネの名前からとってるとかいう話がある)が後ろに映っており、サーシャもなんかキツネっぽい衣装だ。オーランドーを演じるリンジーは大変適役で、歌や演技はもちろん、川久保玲の服を颯爽と着こなしている。