まさかの"WAP"、ただしクリーンホリデーバージョン~ブラックフライアーズ座『クリスマス・キャロル』(配信)

 ブラックフライアーズ座の『クリスマス・キャロル』を有料配信で見た。

americanshakespearecenter.com

 ブラックフライアーズ座のいつもの役者たちで、少人数でやるプロダクションである。道具類は楽器、ドア、箱、衣装掛けなどで、とくにドアはスクルージ(ジョン・ハレル)のベッドになったり、墓碑銘になったり、いろいろなところで活躍する。お話はだいたい原作に忠実だが、短く子どもでも見やすいようにまとめて、少しずつスクルージの心が穏やかになっていく様子をうまく表現している。音楽に溢れたホリデーらしい上演で、ヴィクトリア朝風のクリスマスのダンスかと思ったら"WAP"をダーティではないホリデーバージョンにしたカバーソングが歌われて盛り上がったりするあたりは時事ネタで可笑しいし、こういうのはポスト『ハミルトン』的な演出と言えるかもしれない。最後に出てくるクリスマスの未来の精霊は後ろから操るかなり大きな人形で、けっこう見た目が怖い。

 上演としては悪くないのだが、撮影と音のクオリティについては、相変わらず少し文句があるところもある。マーリーの幽霊(ジェシカ・D・ウィリアムズ)が出てくるところとか、ドアを開けるとマーリーの顔に懐中電灯があたっていてけっこう不気味な感じなのだが、たぶん生で見たほうがずっと面白いのではないかと思った。ただ、全体的には以前の上演配信よりは映像は改善している気はする。