わかりやすく短くまとめた教育向け上演~グローブ座『ロミオとジュリエット』(配信)

 グローブ座の『ロミオとジュリエット』を配信で見た。2019年のマイケル・オークリー演出のものである。春に配信された『マクベス』同様、ドイツ銀行がスポンサーになってイギリスの子供たちが学校で習うような演目を上演するプロジェクトの一環である。

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 90分強に短くわかりやすくまとめた上演なのだが、教育的なプロダクションだということもあって、場面をまるごとカットするといったことはあまりしないようにしている(全カットが皆無ではないが、短い上演だとカットされやすい薬屋の場面やパリス殺害もやっている)。現代風のセッティングで、『マクベス』同様ちょっと『ハンガー・ゲーム』っぽい衣装などを使って、視覚的に若い観客にもなじみやすいようにしている。下ネタを含めて笑うところも満載だし、ティボルト(アヨーラ・スマート、女性という設定)に刺されておどけていたマキューシオ(ネッド・デリントン)がいきなり血を吐いて倒れるとか、子供向けとはいってもけっこうショッキングな演出もある。エネルギッシュでスピード感があり、若者たちの恋をテンポ良く描く上演で、ロマンティックなだけではなくドタバタも暴力もある『ロミオとジュリエット』の魅力をしっかり見せようとしているプロダクションになっている。