楽しくクィアなシェイクスピア~フライングステージ『gaku-GAY-kai 2020 贋作・十二夜』

 新宿シアターミラクルでフライングステージ『gaku-GAY-kai 2020 贋作・十二夜』を見てきた。

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 80分くらいに短くまとめた上演だが、大変すっきりと、話はきちんとわかるようにカットされている。フライングステージはオープンリーゲイのメンバー中心の劇団なのだが、この上演は原作のイリリアを新宿二丁目に変えており、オーシーノ(さいとうまこと)は新宿二丁目の領主で、オリヴィア(エスムラルダ)は女装の伯爵令嬢である。異性装を用いつつも最後はヘテロセクシュアルな恋愛に着地してしまう原作の『十二夜』を少しだけひねることでけっこうちゃんとクィアな上演にしており、ヴァイオラ(モイラ)が男装をやめてもオーシーノにこれまで同様愛してもらえるか心配していたり、マルヴォーリオ(尾崎太郎)がみんなから嫌われている理由が女装への偏見だということになっていて最後にちょっとしたマルヴォーリオの解放みたいなものがあったり、いつもはかわいそうな役回りで、ひそかに恋しているらしいセバスチャンにふられて悲しいアントーニオ(中嶌聡)にも最後にちょっとした救済があったり、ホリデー気分で楽しめる内容だ。とくにトービー(岸本啓孝)がドラァグクイーンなのはかなりもともとのキャラクターにはまっていると思ったので、他のプロダクションでもできそうなものはこれをやったらいいのではないかと思った。初日でちょっと台詞が噛み気味だったのだけが残念だが、大変面白い上演だった。