キャラが立った楽しい上演~ウィーン国立歌劇場『フィガロの結婚』(配信)

 ウィーン国立歌劇場による『フィガロの結婚』の配信を見た。2021年2月4日に無観客で上演されたばかりの公演の録画らしい。指揮者はフィリップ・ジョルダンで、演出はジャン=ピエール・ポネルによるものである。

 以前に配信でポネルの『チェネレントラ』を見た時、セットも演出もしっかりしているわりにいまいちドレスのチョイスが納得いかなかったのだが、これは衣装、セット、歌手がしっかりあっており、見やすかった。とくにロジーナ(フェデリカ・ロンバルディ)の白いレースのドレスは大変よく似合っているし、健気だが悩みがちなキャラにもあっている。わりとキャラがはっきり立っているプロダクションで、悩めるロジーナをしっかり支えるスザンナ(ルイーズ・オルダー)、一見優男風だがたまにデッドパンみたいな皮肉をかまし、怒ったり悲しんだりするとわりと激しい感情表現もするフィガロ(フィリップ・スライ)、可愛くてフラフラしたケルビーノ(ヴィルジニー・ヴェレーズ)、けっこう気分屋で付き合いづらそうな感じのアルマヴィーヴァ伯爵(アンドレ・シュエン)がそれぞれ生き生きしている。歌もいいし、楽しいプロダクションだった。