よくできているが、好きかというと…『テンダーシング-ロミオとジュリエットより-』(ネタバレあり)

 ベン・パワーの『テンダーシング-ロミオとジュリエットより-』を見てきた。『ロミオとジュリエット』他シェイクスピアのセリフを組み替えて老夫婦の物語にするというものである。土居裕子と大森博史が老夫婦を演じている。

 全部シェイクスピアの台詞だけで老夫婦の話にするというコンセプトはすごくて、よくできた芝居だと思うのだが、終盤、妻のほうが弱ってどんどん安楽死と心中の話になるのがどうも乗れなかった。こういう話はずいぶんよくあるのだが、正直なところ、老人の安楽死みたいなデリケートな主題を扱うのには、シェイクスピアじゃないもうちょっとシチュエーション特定の言葉を足す必要があるんじゃないかと思う。あと、序盤で少々夫のほうの台詞がボソボソした感じで、のってくるまではやや堅い感じだったかなと思う。