『ガンズ・アキンボ』を見てきた。
主人公のマイルズ（ダニエル・ラドクリフ）は「スキズム」というネットの違法に人に殺し合いをさせるサイトに荒らしコメントを書き込んだ結果、スキズムに目を付けられて両手に銃を釘付けにされてしまう。マイルズは殺し屋のニックス（サマラ・ウィーヴィング ）と無理矢理対決させられるが、けっこうしぶとく逃げ回る。スキズムはマイルズの前の彼女であるノヴァ（ナターシャ・リュー・ボルディッゾ）を拉致し、マイルズを脅して対決を煽るが…
あんまり現実感のない設定で展開するお話である。そもそも「スキズム」自体あんまり現実味がないが、舞台もわざとどこだかあんまりよくわからないように作っている感じがする（マイルズはだいたいアメリカ英語を話しているのだが、街はニュージーランドのオークランドで撮っている）。手にそんなものを打ち付けたら痛みで動けないのでは…とか、ツッコミどころもたくさんある。一応ネットいじめとかネット漬けとかを風刺しているし、またオタクっぽいマイルズが最後に「妄想通りには物事は運ばない」ということで自分を相対化しているあたりは比較的きちんとオチがついてはいるのだが、そうは言ってもまあ結末は都合のいい…というかちょっとアホっぽい終わり方だ。
そのへんはまあテンポも早いし、娯楽アクションなのであんまり気にしなければいいのだが、撮影でカメラを動かしすぎなのはちょっとどうかと思った。妙なところでカメラを揺らしたり回したりするのだが、アクションが見づらいし、正直けっこうキザで、カメラ酔いもする。とくにマイルズが吹っ飛んだりするところではくるっとカメラが回るのだが、これは見ているほうが気持ち悪くなるだけで動きが見えにくいので、全く要らないのではないかと思った。
ただ、音楽はわりと悪くない。インダストリアルメタルバンドの3Teethがスウィートの"Ballroom Blitz"とかデッド・オア・アライヴの"You Spin Me Round (Like a Record)"とかをカバーしたものを使っていて、このへんのセンスは良かった。ただ、「ニックス」っていう人物が出てくるならフリートウッド・マックのカバーも使ったらよいのではないかと思った（完全に個人の趣味だが…）。
