登場人物が老け作りすぎでは…『ダディ・ロング・レッグス』(配信)

 ストリーミングシアターの配信でブルーヴァード・プロダクションズの『ダディ・ロング・レッグス』を見た。ジーン・ウェブスターの『あしながおじさん』をジョン・ケアードとポール・ゴードンがミュージカル化したものである。これはキリアン・コリンズ、マーク・オルーニー演出、デイヴィッド・レイが音楽監督で、ダブリンのプロダクションである。日本でも上演されたことがあるのだが、私はそちらのほうは見られなかった。

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 基本的に二人芝居で、ヒロインのジュディ(ローシン・サリヴァン)とあしながおじさんことジャーヴィスオーウェン・キャノン)のやりとりで進む。書簡体の原作を生かしてシンプルに歌とセリフでまとめた作品で、原作ではあまりよくわからないジャーヴィスのその時々の心境などもよくわかるようになっており、メリハリのある舞台になってはいる…のだが、ちょっと登場人物が老け作りすぎなのが気になった。全体的にジュディもジャーヴィスもけっこう老けた感じに作ってあるのだが、これがあんまり良くない。とりあえず、ジュディは今でいう大学生くらいの年齢のはずである。さらに『あしながおじさん』はそもそも今の感覚だとキモいと思われやすい作品…だというか、孤児の女子大生と身元を隠していたお金持ちの後見人の男性がなんだかんだいろいろあって結婚するというのは、昔はロマンティックな話だったのかもしれないが、今の感覚だと男性の有力な後見人が若い女性を支配しようとしているみたいでなんだか不愉快な話に見えやすい。このため、現代にこういう話をやるならジャーヴィスをかなり若くてあまりジュディと年齢差がなく、なんかイキっているわりに子供っぽいところがある意識高い系にーちゃんみたいにしたほうがいいと思うのだが、このプロダクションのジャーヴィスは妙に老け作りで、ジュディより年上すぎる。役者さんのふだんの写真を見ると、髪型とかヒゲをいじるだけでもっとずっと若く見えるジャーヴィスになったのではないかと思うので、メイクと衣装のチョイスに疑問を抱かざるを得なかった。二十世紀初頭の紳士だからということでちょっと重厚な感じにしすぎたのだろうか…日本版は井上芳雄だったらしいのだが、それならちょっと髪型とかを工夫すれば全然若々しいジャーヴィスに見えただろうと思うし、予告でも違和感がないので、日本版を見に行くべきだっただろうか…