撮影と照明が良い~宝塚星組『ロミオとジュリエット』ライブビューイング

 宝塚星組ロミオとジュリエット』のライブビューイングに行ってきた。2013年に一度見ていたのだが、基本的には同じ話とはいえ、けっこう細かいところは忘れて、記憶が新たになった感じである。

kageki.hankyu.co.jp

 2013年に見た時よりも少し全体的にこなれていて、良くなっているような印象を受けた。ロミオ(礼真琴)がかなり優男というか若くて中性的で、ジュリエット(舞空瞳)も少女っぽく、ずいぶん若々しいカップルだという印象を受ける。幼く可愛らしい恋人同士が悲劇に突き進んでいく様子を正攻法で描いている。

 たしか2013年に見た時はかなり後ろの席だったのだが、ライブビューイングだとものすごく寄ってスターの表情を見せるように撮っているので、細かいところまで見える。前回も思ったのが、宝塚のライブビューイング撮影のクオリティはかなり良い。全体的に赤系の照明の使い方が上手で、不穏な場面ではうまく赤を使っている。ロミオが死を怖れる歌で手や頬に薄めの赤い照明があたり、なんとなくこの後ロミオの手が血に染まることを暗示するような演出があるのだが、こんなのは劇場で後ろの方の席だとほとんど見えないだろうと思う。

 また、私は宝塚の退団のご挨拶というのを今回初めて見たのだが、まったく他の舞台にはない文化なので興味深かった。ひとりひとりもらう花束の色や形が違うとか、いろいろこだわりが見てとれる。宝塚の役者というからにはたぶんはっきり丁寧に話すように訓練されていると思うのだが、そのわりにお別れのご挨拶ではら抜き言葉とかけっこう現代風に省略したしゃべり方をしている人もいて、感情が高ぶるとタカラジェンヌも少しくだけた話し方になるのかなと思った。