面白いと思うのだが、人にすすめづらい~『何を見ても何かを思い出すと思う』(配信)

 コンプソンズ『何を見ても何かを思い出すと思う』を配信で見た。

www.compsons.net

 2010年代の下北沢を舞台に、演劇とか映像とか、とにかく下北沢っぽいものにかかわる人々が右往左往する作品である。主催の金子鈴幸の実体験をもとにしているそうで、出てくる人々もかなり等身大な感じ…なのだが、たぶんお芝居じたいはこういう説明から想像するものとだいぶ違う内容である。時空がいろいろわざと乱してあって、意図的にあんまりしっかり筋が通らないようなシュールな感じに作られていて、なんだか昼間に居眠りしてしまった時に見る夢みたいな構成になっている。ちょっとロバート・アルトマンとか『作者を探す六人の登場人物』みたいな雰囲気である一方、自分の体験を消化しようとしつつ完全には突き放せなくて苦笑や郷愁を捨てきれないみたいな感じの作品で、私は面白いと思うのだが、非常に人にすすめづらい。あと、私はここに出てくる固有名詞がほとんどわからなかったので、内容をつかみ切れていないところがあるかもと思う。