北アイルランド紛争がテーマの一人芝居~『ベルファスト・ブルース』(配信)

 アイリッシュレパートリーシアターの有料配信で『ベルファスト・ブルース』を見た。

www.stream.theatre

 ジェラルディン・ヒューズによる自伝的な一人芝居で、2003年から上演されているものである。ヒロインは紛争が悪化するベルファストで生まれるが、やがてアメリカの映画スタッフが子役を捜しているという噂を聞きつけてオーディションに行き、学校劇くらいしか出たことがなかったのに子役として仕事を得る。一方で北アイルランド紛争の悪化により、ベルファストでは暴力事件や死が後を絶たない。

 エネルギッシュな一人芝居で、笑うところがたくさんある一方、北アイルランド紛争がテーマなので深刻なところも多い。ただ、ちょっとビックリしたのはやはりジェラルディンが子役になった経過で、アメリカから突然映画のスタッフがやってきて演技経験のない地元の子供が映画に出るというのは『イニシュマーン島のビリー』を思い出した(このへんの子供のジェラルディンがものすごくワクワクして自己アピールするあたりの演技が面白い)。南北問わずアイルランド島のお芝居がこういう展開を好んでいるのか、それともアメリカ人がアイルランドの子供たちに対してロマンティックな理想を抱いているせいでそういうことが実際に起こりやすいのか(ジェラルディンの話は実話らしいし)、そのへんはわからないのだが、なんとなくアイルランド島アメリカの関係を示唆するような展開だと思う。