内容はいいのだが…『テンペスト~はじめて海を泳ぐには』

 あうるすぽっとで『テンペスト~はじめて海を泳ぐには』を見てきた。

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 日本、イギリス、バングラデシュそれぞれの国からいろいろな障害を有する役者たちが集まって『テンペスト』を作ろうとするが、新型コロナウイルスその他の障害に阻まれてイギリスとバングラデシュから役者と演出家が来日することができず、なかなか芝居作りが進まない…というバックステージものである。基本的に音声言語に日本手話、日本語と英語の字幕がつく。イギリス勢とバングラデシュ勢はビデオ通話で稽古に参加するという形になっている。

 

 バックステージものとしてはけっこう面白い。役者たちが自分がもらった役とは違う別の役をやりたいと言い出したり(一見、ただの目立ちたがりのようでいてけっこうしっかりした言い分がある)、障害を持つ役者が直面する差別についての率直な意見交換があったり、役者同士が解釈を戦わせたり、差別問題を取り入れつつ正攻法のバックステージものにしている感じだ。一方で演出家のジェニーが寝てばっかりで頼りにならないなど、笑えるところもある。

 ただ、やはり最後まで見ると実際にこのキャストで『テンペスト』を見たいですね…という気持ちになってしまう。なかなかこういう時期だと難しいのだが、『テンペスト』を最初から最後までやってほしいものだ。最後に役者たちがいろんなお気に入りの役をあげる場面があったが、何なら『テンペスト』に限らずどんどんいろんなシェイクスピアをやってほしい。

 あと、これは内容の本筋とは関係ないのだが、英語字幕がなんかものすごくチェック不足だったように思う。単純な誤字脱字がやたら多く、とくに序盤はポストロフィ、コンマ、疑問符などパンクチュエーションがおかしいところがけっこうあって、かなり読みづらい字幕だなと思った。中盤以降ちょっとマシになったと思うのだが、それでも誤訳では…と思うところが二箇所くらいあった。日本語のセリフでは「支援を必要とする人」みたいなことを言っているのに英語字幕が"who offers help"「支援を申し出る人」になっていて、逆じゃないのか…と思った。