博物館のセットは…?バイエルン国立歌劇場『リア王』(配信)

 バイエルン国立歌劇場の『リア王』を配信で見た。2021年5月30日に撮影したもので、クラウス・H・ヘンネベルク台本、アリベルト・ライマン作曲で1978年に初演された作品である。ユッカ=ペッカ・サラステが指揮、クリストフ・マルターラーが演出をつとめている。ドイツ語で英語字幕がつくが、途中の解説などには字幕がつかない。

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 全体的に音楽は現代音楽で、けっこう劇的だし、とくに最後にリア(クリスティアン・ゲルハーヘル)が叫ぶところなどは非常に効果的だ。あまり得意な感じの音楽ではないのだが、もとの台本の雰囲気を非常に生かした作品だということはなんとなくわかる。ただ、演出がけっこうよくわからなかった…というか、衣装は現代で、いかにもドイツっぽい博物館の一室みたいなところでお話が全部展開するのだが、これが全体とあんまりかみ合っていない感じがする。見た目のインパクトだけはあるのだが、それ以上の意味があんまりよくわからない。リア王とその一家の生き様を動物みたいに見せたいということなのかもしれないが、なんというか妙に全体が「展示品」「骨董品」のような雰囲気になってしまって、生き生きした感じで演出すべきところでも妙にみんな活気がないような印象になってしまうのがあんまり良くないように思った。