ツイ・ハークがかかわっている凝ったプロダクション~当代伝奇劇場『テンペスト』(配信)

 世界シェイクスピア大会の配信で当代伝奇劇場『テンペスト』を見た。2004年の台湾のプロダクションで、呉興国とツイ・ハークが演出しているものである。全体的にかなりきちんと京劇スタイルに落とし込んでいる上演だ。

 私は呉興国の『リア王』をかなり前にエディンバラで見て、その時はあんまり面白いと思わなかったのだが、この『テンペスト』はデザインや振付がかなりしっかりした華やかな上演で視覚効果が高く、面白かった。映画監督のツイ・ハークがかかわっているというだけあってアクションはとても綺麗である。衣装も凝ったもので、エアリアルは後ろに大きな白い翼をつけているし、プロスペローは全体に呪文みたいなものが書かれたけっこう禍々しい魔法の衣と杖を使っており、最後にこれを捨てるところは見た目のインパクトがある。ただ、古い上演映像なのでちょっとたまに映像が粗くて見づらいところがあり、おそらくライヴで見るとすごいのであろう視覚効果が削がれているところがあるのが残念だ。