生演奏つきの豪華な上演~『ピーターパン』

 めぐろパーシモンホールで『ピーターパン』を見てきた。森新太郎演出である。来学期に授業でとりあげる予定なのだが、舞台で見るのは初めてである。このご時世に生演奏がついており、とても豪華なミュージカルだ。

 全体的に演出や演技、美術などは子供向けにしっかり作られたもので、ユーモアもあり、楽しめる。また、子供向けの作品であるためかわりと歌が短めですっきりしていると思った。ティンカーベルを助けるためにお客さんに拍手をさせるところは伝統の演出だそうなのだが、大変効果的な客いじりだ。あと、装置を使ってピーター・パン(吉柳咲良)を初めとするキャラクターが飛ぶ演出はやはり大変見栄えがする。とくにカーテンコールではピーター・パンが客席のほうまで飛んでくれる豪華サービスがある。

 ただ、やはり物語としてはけっこう今の感覚だとジェンダーや民族の観点で引っかかるところがあるなと思った。ウェンディがまだ小さいのにお母さんとしての役割をすんなり受け入れるところは非常にヴィクトリアンからエドワーディアンの時代の感覚だなという印象を受けた。あと、タイガー・リリー(宮澤佐江)についてはやっぱりひっかかるところがある。別にタイガー・リリーは不愉快なキャラクターというわけではないのだが、非常に単純化された先住民表象ではあるなと思った。