統一感のある上演~イングリッシュ・ツアーリング・オペラ『ダイドーとイニーアス』(配信)

 イングリッシュ・ツアーリング・オペラ『ダイドーとイニーアス』を配信で見た。2018年のハックニーエンパイアでの上演を撮影したものである。ジョナサン・ケニー指揮、セブ・ハークームの演出によるものである。

 右側に傾いた暖炉のあるセットは今年の初めに配信で見たコーミッシュ・オーパー・ベルリンの『セメレ』にちょっと似ているのだが、あちらよりもだいぶ全体的に統一感のある演出である。全体的に傾いたセットで、左側に窓があり、右側に大きな絵が飾られている。衣装や美術はジャコビアンあたりの雰囲気で、メイン以外は白塗りのお化粧にエリザベス朝ふうの襟をつけていて、そこまで大仰ではないがバロックらしい感じで揃えている。小道具の船の置物の使い方もうまいし、途中で後ろに月が出てくるメリエスサイレント映画みたいな演出も面白い。歌も良かったが、とくにダイドー役のスカイ・イングラムは声も演技もとても迫力があった。