あの池、要るかな…?吉祥寺シアターで『夏の夜の夢』

 吉祥寺シアターで『夏の夜の夢』を見てきた。鈴木勝秀演出で、演劇集団円に拠るものである。

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 二層になっていて、上にはしごなどで作った大きな木を模したようなオブジェがあるセットである。両脇には階段があり、上層階に上がれるようになっている。左前方に水たまりというか池のようなものがある。

 初日だったのでけっこうセリフが固いところがあり、とくに序盤はわりと話し方のテンポが一定しないというか、もたついたり、必要以上に早口になったりしていたところがあったように思う。とくに若い恋人たちは最初のほう、ちょっと台詞回しのリズム感があまり安定していなかった。終盤にかけて乗ってきたのか、良くなっていったと思う。

 終盤の職人劇団のお芝居は大変面白おかしく、手堅くまとめていた。全員白い衣装を着て、生演奏というか劇団メンバーがお囃子みたいに太鼓などを使っていろいろな音を出してアマチュア芝居を盛り上げるというもので、なかなか気合いが入っている。そんなに気合いが入っているのに大変な大根芝居だというのが悲しいところなのだが、頑張っているところにシーシアス(大窪晶)もヒポリタ(清水透湖)も優しい心を動かされている様子がよくわかるようになっていたと思う。ただ、恋人たちが芝居にツッコミを入れる台詞がほぼカットされており、これは笑えるとこを減らしているのでは…と思った。とくに月の口上に対するツッコミをばっさりカットしていたのだが、それなら月の台詞(ツッコミに答える形の台詞がある)も短くしたほうがいいのでは…という気がした。

 ちょっと疑問に思ったのが左前方の小さい池である。一応、象徴的な感じで使われているところもあるのだが、それ以外のところでは全然生きていない…というか、役者が動き回る時にまたがないといけないので、大半の部分では邪魔になっているだけのように見える。もっとしょっちゅう使うか、なくすか、どちらかにしたほうがすっきりするのではないかと思った。