台詞の雰囲気がだいぶ違う~明治大学シェイクスピアプロジェクト『ロメオ、エンド、ジュリエット』(配信)

 明治大学シェイクスピアプロジェクト、西村俊彦演出『ロメオ、エンド、ジュリエット』を配信で見た。今年の明治大学シェイクスピアプロジェクトは2本立てで、これは特別講演として1886年の河島敬蔵『春情浮世の夢』と1904年の小山内薫脚色を用いた台本を使い、「日本で一番最初に上演された『ロミオとジュリエット』」をやってみるというものである。

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 語りがたくさん入っているのはおそらく当時のお客さんには説明がないとあまりよくわからなかったからではないかと思う。歌舞伎っぽいような感じもあり、これが世紀転換期のお客さんには馴染みのある形だったのかもしれない。また、けっこうみんな台詞の口調が優しい。ロメオ(真淵月海)のしゃべり方などは礼儀正しい学生みたいな感じだし、青年同士で「ロメオ君」などと呼び合っていて、今の上演で見かけるかなりくだけた感じで下ネタを飛ばし合う若者たちに比べるとちょっと品が良いというか、穏やかな感じがする。最後の大公(小島淳之介)の台詞なども今の台本に比べるとかなり当たりが柔らかく、全体として優しい印象を与える台本だ。