つまらなくはないが、長すぎる~『355』(ネタバレ)

 『355』を見た。

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 女性チームが活躍するアクションものである。CIAエージェントのメイス(ジェシカ・チャステイン)は相棒ニック(セバスチャン・スタン)を任務の途中で失い、MI6のIT専門家ハディージャルピタ・ニョンゴ)と一緒に世界のITセキュリティを揺るがすデバイスを追う仕事をすることになる。途中でコロンビアのセラピストであるグラシエラ(ペネロペ・クルス)やデバイスを追っていたドイツ連邦情報局のマリー(ダイアン・クルーガー)も加わって世界を救うべくチームで活動を始めるが…

 こういうアクション映画を作りたいという心意気は大変よろしいし、つまらない映画ではない。とくにダイアン・クルーガー演じるマリーは数カ国語を操りつつ暴れまくり、爆破しまくりの一匹狼エージェントで大変にカッコよく、クルーガーの活躍を見るだけでお金を払う価値はある。また、ペネロペ・クルス演じるグラシエラはセラピスト・心理学者で現場に出る仕事ではないのに突然殴り合い、撃ち合いのど真ん中に引っ張り込まれてやりたくない気持ち満々で怯えていたのに、まあクルスがこのまま終わるわけはないと思ったらやっぱり活躍してくれて…などという落とし方も良い。アクションもかなりちゃんとしている。

 しかしながらこの手のアクション映画によくある、やたら複雑な展開のせいで尺がずいぶんと長くなっており、「ここまで引っ張る必要あるか?」と思ってしまった。こういうのはごく単純なプロットで90分-110分くらいのスピーディな展開にして引き締めるのがいいと思うのだが、正直、終盤はそんなに続けなくていいのに…と思ってしまった。とくに終盤の処理でよろしくないのはファン・ビンビン演じる中国のエージェントであるミンの処理で、せっかくファン・ビンビンを出しているのに最後のほうで出てきてちょっとなんかやるだけ、みたいな感じでうまくキャラを生かせていない。気楽に見られるアクションものだし、女性スターをそろえてこういうアクションをやりたいという心意気は素晴らしいのでどんどんやってほしいのだが、このへんはもっと工夫してほしかった。