クロエ・グレース・モレッツがモンスターをタコ殴りにするアクション映画~『シャドウ・イン・クラウド』(ネタバレあり)

 『シャドウ・イン・クラウド』を見てきた。

www.youtube.com

 第二次世界大戦中、空軍の女性兵士であるモード(クロエ・グレース・モレッツ)が極秘任務ということでニュージーランドの基地から出発直前に爆撃機フールズ・エランド号に乗り込む。サモアまで運ぶ荷物があるということだったが、荒っぽい空軍の男性兵士たちはモードにセクハラ発言をするなど冷たく振る舞う。ところがフールズ・エランド号は化け物であるグレムリンと日本軍の両方に襲われる事態になり…

 途中まではいかにも男社会らしいイヤな感じに満ち満ちた軍隊で戦う女性を描いた戦争アクションかと思いきや、グレムリンが出てきてモンスターパニック映画になり、さらに荷物の中身が意外なものでサスペンスにも…という感じで、一本にいろんな娯楽要素を詰め込んだ作品である。序盤でモードに対する男たちのセクハラや狭い機内の閉塞的な感じをけっこうきちんと描いている一方、中盤以降はぶっ飛んだアクション映画になっている。全体的にいろんなジャンル映画の楽しみをこれでもかという感じでブチ混んでおり、そのため「そんなんあるわけねーだろ!」みたいなご都合主義的な展開や素っ頓狂な描写もけっこうあるのだが、そのへんは笑ってツッコミながら見られる感じだ。

 狭い場所の描き方や母性的な強さのあるヒロインのキャラなどは『エイリアン』の影響が強そうである。ここが良くも悪くも効いている…というか、全体的には楽しく見られるヒロインアクション映画でモードもとても面白いキャラなのだが、一方で「母は強し」みたいなよくあるタイプのお話に帰着してしまっており、そこはあまり新鮮味が無い。やっぱりこういう映画を作るとどうしても名作『エイリアン』の影響から逃れられないのかな…という気がする。まあ、モンスターをタコ殴りにするクロエ・グレース・モレッツが見られるだけで料金のもとはとれる気がするが…