ビーズクッションが活躍~『妖楽 夏の夜の夢』

 山本健翔演出、だるまとカナリア『妖楽 夏の夜の夢』を見てきた。

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 薄紫っぽい背景に月の模様が描かれたセットで、緑色と紫色のビーズクッションが2つずつ置かれている。このクッションがいろいろなものに見立てて使われ、恋人たちのケンカで武器みたいに使われたり、ボトムがこれにくるまって居眠りしたり、宴では座席になったりする。全体的に薄暗い森の雰囲気を強調したセットである。

 序盤はかなり固い感じがあったのだが、終盤は比較的良くなる。とくに最後の祝宴の場面では、新婚の恋人たちはバスローブやパジャマで観劇し、職人劇団は意外と頑張ったのでヘタクソだったのにイジーアスが感動してしまうあたり、なかなか面白い。イジーアスはハーミアが勝手に結婚してしまったので非常に不機嫌で、芝居の最初のほうではぶすっとしていたのだが、最後は泣きながら役者を称賛して娘夫婦を祝福してやるようになる。

 ただ、けっこうツメが甘いように見えるところもある。全体的に森の場面でちょっと照明を薄暗くしすぎのように思うところもあった。あと、恋の魔法の花が白っぽく、セリフにあわせてもっと毒々しい感じにしたほうがいいのではと思った。花の場面では大きな花が舞台の脇から出てくるのだが、この場面の照明がとくに暗く、もうちょっと明るくてもいいのではという気がした。