子ども向けのわかりやすいバレエ上演~日生劇場『真夏の夜の夢』

 日生劇場で『真夏の夜の夢』を見てきた。メンデルスゾーンの音楽に振付をしたもので、演出は中島伸欣である。家族向けのイベントで、子どもにもかわるように解説がつく(最初にバレエのマイムの意味に関する説明などもある)。音楽は東京シティ・バレエ団による生演奏である。

 解説つきの夏夢というと吉永小百合のナレーションがついたバージョンが出ているのだが、たしかにそういうのに向いた音楽ではある。妖精が出てきて夏らしい演目でもあり、ボトムとティターニアをあんまり色っぽく演出しなければ子どもでも充分理解できるので、ご家族向けのイベントでやるにはぴったりだ。子ども向けだからなのか、朝10時半からという珍しい開演時間だった。 

 やはり子ども向けということで大変わかりやすく、オーソドックスで可愛らしい演出になっている。森に一体化した木のそよぎみたいな感じでちょこまか動く小さい妖精たちと、堂々としたティターニア(清水愛恵)とオーベロン(濱本泰然)の対比がしっかりしている。職人たちは比較的真面目そうで、ボトム(土橋冬夢)はロバになっても着ぐるみとかではなく耳だけをつけた伊達男風の作りになっている。職人たちが最後に祝宴で見せるのは『ピラマスとシスビ』ではなくダンスの演目で、まあバレエだから当然というのはあるものの大変ちゃんとした祝宴にふさわしい踊りのショーを上演している。