マスクの活用~パルマ王立歌劇場『マハゴニー市の興亡』(配信)

 パルマ王立歌劇場で上演された『マハゴニー市の興亡』を配信で見た。ブレヒト台本、クルト・ヴァイル作曲のオペラである。へニング・ブロックハウス演出、クリストファー・フランクリン指揮で4月30日に上演されたものの映像である。

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 第一次世界大戦後くらいのドイツをイメージしているようで、白塗りのパフォーマーたちが出てきて退廃的なキャバレーっぽいセットで動き回る、けっこう『キャバレー』に似た世界観の作品である。ただ、衣装はわりとモダンなところもあり、オレンジの囚人服なども出てくるし、髪型なんかはわりと現代風だ。マスクをつけたガイコツみたいな顔のよく見えないコーラスも出てきていて、これはたぶんナチスの台頭などを示唆しているのだろうな…と思いつつ、マスクは新型コロナウイルス流行も取り入れているのだと思う。コーラスがマスクを不気味な雰囲気で活用しているところは面白く、このへんは制限を逆手にとった面白い演出と言えると思う。