ポール・ロブソンの生涯を描いた1人芝居~Call Mr Robeson (配信)

 Tayo Alukoによる1人芝居Call Mr Robesonエディンバラフリンジの配信で見た。ポール・ロブソンの生涯をモノローグと歌で語る90分の芝居である。舞台上にはソ連とかウェールズとか、生前のロブソンにゆかりがある地域の旗がぐしゃっと置かれており、真ん中に椅子があって、ここでロブソンが語る。たまに録音のナレーションが使用され、歌には生のピアノ伴奏がつく。

 この芝居の作者でもあるTayo Alukoはこの演目を15年間もやっているそうで、非常によく練られた1人芝居である。ロブソンといえば美声で有名だが、舞台で披露される歌もロブソンそのままとは言わないものの大変深みがあって上手だ。ロブソンの社会主義への傾倒や、人種差別について極めてアメリカ合衆国に対して批判的だったことを臆さず描いている。ロブソンのロシアびいき(ロシアで初めてまともな人間として扱われたと感動する場面がある)は、その後のソ連の展開や今のようなロシアがウクライナ侵略をしている状況で見るとちょっと厳しいものがあるが、そのへんもあまり包み隠さず、どうしてロブソンがロシアに惹かれたのかがわかるように描いている。