全体的に若々しい感じなのが良い~『ダディ・ロング・レッグズ』(配信)

 『ダディ・ロング・レッグズ』日本版の配信を見た。既に一度、英語版を配信で見たことがある。日本版は8月31日にシアタークリエで上演されたものの映像である。

 2人芝居なのになんとカメラを10台も入れて撮影したそうで、映像はかなり良い。基本的には英語版と同じような印象を受けたのだが、もう少し軽妙な感じがする。おそらく、英語版を見た時はジャーヴィスもジュディも不必要に老け作りで重厚な感じだったのだが、こちらのプロダクションは43歳のわりに年齢不詳感がある井上芳雄ジャーヴィス(この役を10年やっているそうで、若い時に演じ始めたからかもしれないがけっこう若作りだ)で、ヒゲもないし、髪型や化粧も青年紳士ふうだ。24歳の上白石萌音演じるジュディよりだいぶ実年齢が上であるわりには若くて未熟な感じなので、そのせいかもしれない。こちらのプロダクションのジャーヴィスはそれこそ若いのにチャリティ事業の責任を押しつけられてクサっている青年みたいな感じで、ジュディから手紙をもらって喜ぶ態度も子どもっぽい。たぶんジャーヴィスはこういう感じで作るのが正解なのではという気がする。

 千秋楽の挨拶で上白石萌音ジャーヴィスのハゲネタを持ってきて井上芳雄をいじったのはちょっといらないような気がしたのだが、井上芳雄が「それが悪いわけじゃないので」と拾っていたのはいいと思った。言われてみるとこの作品、ちょっと本編でもあじながおじさんがハゲているのかどうかでジョークを引っ張りすぎかもしれない。