おしゃれなのだが、戯曲がそもそも好みじゃないのかも…『8人の女たち』(配信)

 ロベール・トマ『8人の女たち』を配信で見た。板垣恭一演出で、サンシャイン劇場で9月3日に撮影されたものである。フランソワ・オゾンの映画版は見たことがあるのだが、舞台は初めて見た。プロダクションの特徴としては、出演者が全員、宝塚出身者の女優であるということがある。

 クリスマスに女ばかり住んでいるお屋敷で唯一の男性マルセルが突然、刺殺体で見つかったことをきっかけに、タイトルどおり8人の女たちが犯人捜しで右往左往するというお話である。構成じたいは古典的なお屋敷ミステリで、登場人物が全員女性だというのが珍しい。最後のほうはちゃんと謎解きもある。

 本棚で囲まれた知的な感じのインテリアの部屋に、赤を基調とする衣装をまとった女優陣が出てくるオシャレな舞台である。わりとみんな演技が大げさなのだが、これは設定が人工的な芝居なのでわざとやっているのだろうと思う。役者陣は皆とても頑張っていて個性的だ。

 ただ、私はこの戯曲がそもそも好みではないのかも…という気がした。舞台として見ると、なんだかけっこうミソジニー的な話に見える。映画の時もちょっとそういう要素じたいは感じたのだが、舞台で見てこれは女性同士がひとりの大きな影響力を持つ男性をめぐっていがみあうところを面白おかしく見せる、かなり女性を皮肉った作品だな…と思った。映画のほうも舞台っぽい作品ではあったのだが、なんだかんだでいろいろ撮り方で動きをつけるなど工夫していたのでそんなに強くミソジニーを感じなかったのだが、舞台でやるとひとつのセットでずっと展開するので、密室で女ばかりのキャットファイトをしているみたいな感じが強調されてしまう。その分息苦しいというか閉鎖的な印象になり、より強くミソジニーを感じたのかもしれないと思う。