だいぶカットしてすっきりさせている~『ハリー・ポッターと呪いの子』

 『ハリー・ポッターと呪いの子』を赤坂ACTシアターで見てきた。英語版は見たことがあり、台本も授業で読んだことがある。イギリスで見た時は二部構成で全部で5時間以上ある大作だったのだが、さすがにそれではキツいということなのか、3時間半くらいで1度休憩があるだけである(アメリカとかでもこれで上演しているようだ)。

 相変わらず特殊効果が多くて非常に見栄えのする舞台である。ハリー・ポッター藤原竜也)が宙に浮くドラコ(松田慎也)とのケンカの場面やら、どっかんどっかん杖から光が出る決闘やら、けっこうなスペクタクルである。ただ、ちょっとイギリスで見た時に比べるとディメンターの可動範囲が狭いような気はした。

 台本がかなりカットされており、すっきりはしているが終盤の台詞はちょっとなくしすぎではないかと思う。かわいそうなセドリック・ディゴリー関連の台詞とかはもうちょっと残しておいてもいいのではと思った。あと、短くなっているせいもあり、スコーピウス(斉藤莉生)が終盤は出ずっぱりでほとんど主役みたいに見える(これはもともとの版でもけっこうそういう感じではあったが)。

 このへんを除くとあまりイギリスで見た時と印象は変わらないのだが、個人的には長いバージョンのほうが丁寧なのでそちらのほうが面白かったし、スケール感はあったように思う。あと、最初に見た時には気付かなかったのだが、これってMCUマルチバースを始める前のマルチバースっぽい作品だったんだな…と思う。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を通過した後に見ると、アルバス(藤田悠)のやろうとしていることがちょっと子どもっぽすぎてかなりハラハラする…というか「絶対ダメでしょそれ…」と思ってしまった。