コンプソンズ『われらの狂気を生き延びる道を教えてください』を配信で見た。金子鈴幸作・演出である。
大変概要が説明しにくい感じの話で、とりあえず全体が死ぬ前に人が見る走馬灯という枠…的なものに入っている。元アイドルのまさこ（村田寛奈）が経営しているラーメン屋が舞台で、そこでいろいろなことが起こるのだが、まさこが店長になる前はこの店は児童ポルノを売っているとんでもない店だったとか、まさこが反マスクにハマって飲食店なのにみんなマスクをしていないとか、「桜井マコトノスケ」（津村知与支）なる右翼活動家が出てきたりとか、まさこのアイドル仲間だったれんげ（さかたりさ）は今では女性向けの福祉団体の共同代表をやっているとか、とりあえず時事ネタがてんこもりである。最後はこのラーメン屋がなんか『宇宙の果てのレストラン』みたいなノリになって終わる。
大変むちゃくちゃな内容だが、意味不明な年だった2022年（というかここ数年の日本の政情）をまとめるという点では年末に見るのにふさわしい芝居なのかもしれない。何が元ネタなのかわかるような形でいろいろな政治や芸能スキャンダルへの言及があり（統一教会も出てくる）、上演場所が浅草九劇だからできる楽屋オチのジョークもある。メチャクチャな内容でありつつ、アイドルのセカンドキャリアとかについてはけっこう真面目に考えてしまうところもあり、他人にはすすめにくいがとても面白かった。
