私が苦手なタイプのドキュメンタリー~『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』(試写)

試写 『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』を試写で見た。マリメッコのデザインで有名なデザイナー・画家のマイヤ・イソラについてのドキュメンタリーである。

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 マイヤ・イソラは恋多き女性で旅を好んでおり、そのへんに焦点をあてたドキュメンタリーなのだが、正直、私がかなり苦手なタイプのドキュメンタリーである。ほとんどはイソラに関連するアーカイブの静止画像(たまにアニメーション化されているものもある)に、やはりイソラに関する文字資料(書簡とか)の読み上げをかぶせるというもので、たまに娘のクリスティーナなどによる母についての回想が入る。全体的に読み上げの声もクリスティーナの回想も静かで、あまり起伏はない。研究者とか批評家とか他のデザイナーによるコメントとかはないし、途中でイソラの記録に出てくる映画のタイトルとか人名とかについても一切、注釈がつかない。ある程度マリメッコとかイソラの業績について知識がある人向けに作られている感じである。このため、イソラの業績の客観的な位置づけとか、どういう影響を他に与えたのかといったことがまるっきりわからず、正直、私のようなあまりこのへんの知識がない者にとっては、整理されていない一次情報がボンボン出てきているだけみたいな感じであまり面白くなかった。好みの問題だが、ドキュメンタリーには(『モリコーネ 映画が恋した音楽家』みたいに)もうちょっと対象となった人物の業績の位置づけとか整理とかを求めたい。