ホンモノのCBGBの悪口が聞けるドキュメンタリー映画~『ナイトクラビング マクシズ・カンザス・シティ』

 ダニー・ガルシア監督『ナイトクラビング マクシズ・カンザス・シティ』を見てきた。グラムからパンクの時代にニューヨークのクラブとして一世を風靡したマクシズ・カンザス・シティを題材とする音楽ドキュメンタリーである。

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 作中でも述べられているが、わりと長命だったCBGBに比べるとマクシズ・カンザス・シティは早くつぶれており、しかもオーナーが偽札を作って逮捕されたとかいうことで閉鎖されているため、CBGBほど知名度が無い。しかしながらこのドキュメンタリーでは、当時CBGBにもマクシズ・カンザス・シティにも顔を出していたようなミュージシャンや芸術家たちが、CBGBはトイレが最悪に汚いしミュージシャンへの支払いが悪かったが、マクシズ・カンザス・シティはまあトイレは掃除してあったし、ギャラも悪くなかったし、貧乏アーティストに無料の食事も出していた…などという話をしており、けっこうリアルな裏話が出てきていて面白い。みんなCBGBの不衛生ぶりについては悪口を言いまくっており、きっと本当に汚い店だったんだろうと思う。マクシズ・カンザス・シティについてはバンドの手配をしていたピーター・クロウリーが目利きで、ジョニー・サンダースが面倒を見てもらっていたり、ジェーン・カウンティとかアリス・クーパーなどが活躍していた。なお、ジェーン・カウンティが気難しかったパティ・スミスに関する裏話をしており、パティはジェーンに対して相当に失礼なことをしたらしいのだが、まあきっと実際にあったんだろうな…という気がした。

 ただ、予算が少ないのか、けっこう音楽が限られている…というか、たまに珍しいライヴ映像などが出てくるのだが、一方で話題に出ているミュージシャンの曲をあまり聴かせない。途中でミンク・デヴィルのウィリー・デヴィルの歌をみんなが褒めるところがあったのだが、ここでミンク・デヴィルの曲が一曲もかからないので、いったいどう歌がうまかったのかがよくわからなかった。他にも、そこはちょっと話題に出ているミュージシャンの曲をかけたほうがいいのでは…と思うところがいくつかあった。