IMAホールでCasual Meets Shakespeare『ヴェニスの商人CS』を見てきた。松崎史也脚色・演出で、コメディバージョンとシリアスバージョンがあり、私が見たのはコメディバージョンのほうである。
Casual Meets Shakespeareの公演はうまくいったりいかなかったりみたいな感じで当たり外れがけっこうある印象を受けているのだが、これはいまいちうまくいっていないほうかな…と思った。途中で入ってくる狂言回しみたいなのは要らないと思うし、シャイロック周りをいじりすぎだと思う。厳格なはずのシャイロックがなぜか飲み過ぎて家で酔っ払っていたり、原作では家を留守にしているはずのジェシカの駆け落ちのくだりで在宅だったり、シャイロックがかなり単純に嫌な父親に見える。さらに「ユダヤ人には目がないか」の台詞の場所がかなり変更されているし、ランスロット・ゴボーの出番もだいぶ変更されている。このあたりはむしろ話の一貫性を損なっているような気がした。大きな天秤のある裁判のセットは悪くなかったし、箱選びのくだりをすっきりさせて、モロッコの人種差別的な描写をなくして面白おかしい場面にしているあたりは良かったと思う。