東京国際フォーラムでウクライナ国立バレエ『ドン・キホーテ』を見てきた。初めて見る演目である。
セルバンテスの小説がベースなのだが。タイトルロールのドン・キホーテ(ドミトロ・オレクサンドロフ)は脇役で、本筋であるキトリ(菅井円加)とバジル(アレクサンドル・トルーシュ)の恋愛物語にはそこまでかかわるわけではない。町娘のキトリはバジルと恋仲なのだが、金持ちの息子ガマーシュ(エルネスト・クリセンコ)がキトリにしつこく求婚しており、キトリの父親ロレンツォ(ルスラン・アヴラメンコ)も娘をガマーシュと結婚させたがっている。一計を案じたふたりはバジルに狂言自殺をさせ、ロレンツォにあきらめさせて結婚する。ドン・キホーテは第2幕の最後で若い2人の結婚のため尽力してあげるだけで、あとは自分であまり関係ないトラブルに巻き込まれている感じである。
菅井円加が踊っているヒロインのキトリは非常に性格のはっきりした女の子である。ドン・キホーテが美しいキトリをドゥルシネアかと思ってダンスを申し込むところでは即座にドン・キホーテがまあ正気ではないにせよ無害なおじいさんだと理解して調子をあわせて踊ってあげており、優しく気を遣うこともできるヒロインである。ここではガマーシュもバジルもあまり面白くなさそうな顔をしているのだが、キトリは意に介さずドン・キホーテと楽しく踊っていいる。ヘンなおじいさんにやさしくしつつ、求婚者たちをじらせて自分はダンスを楽しむという陽気なヒロインだ。
全体的にわかりやすくてお祭り騒ぎみたいなプロダクションだが、『雪の女王』同様、気品があるぶんドラマティックというよりは様式的な演出や踊りだなと思えるところもあった。とくに狂言自殺のあたりの場面はけっこう様式的な感じがする。最後の結婚式の場面ではみんな踊って回って大サービスみたいな感じで、「いつもより多く回っております!」みたいなお正月にピッタリな感じで終わっていた。