オンライン講座 日置貴之×木ノ下裕一Presents「つながる古典/現代 ジェンダー・病・戦争・障害・差別」(10/10北村紗衣氏、11/28鈴木則子氏、全5回)の第1回「ジェンダー」が無事終わりました。歌舞伎の知識が全く無いので緊張しましたが、異業種隣接分野の交流研究会みたいな感じで大変充実したイベントになりました。あと4回ありますので、興味のある方は是非ご覧下さい。
『文學界』に新刊の書評掲載&『週刊文春』に『ヴィネガー・ガール』書評掲載
ナショナル・シアター・ライブ『十二夜』プログラムに寄稿しました
新刊の刊行記念イベントが無事終了しました
丸善ジュンク堂「『批評の教室』刊行記念 北村紗衣×小川公代(『ケアの倫理とエンパワメント』)オンライン対談」が無事終了しました。小川さんがとても丁寧なスライドを作って来て下さり、英文学談義になりました。お越しくださった皆様、どうもありがとうございます。
【10/9視聴チケット】『批評の教室』刊行記念 北村紗衣×小川公代(『ケアの倫理とエンパワメント』)オンライン対談online.maruzenjunkudo.co.jp
複雑な子ども時代を複雑なままに~『トムボーイ』
『燃ゆる女の肖像』を撮ったセリーヌ・シアマ監督の『トムボーイ』を見た。2011年に作られたということで、ちょっと前の映画の商業公開である。
夏休み中に妊娠中の母、父、小さな妹と一緒に郊外の集合住宅に引っ越してきたロール(ゾエ・エラン)の物語である。ロールは家族からは女の子として扱われているのだが、引っ越し先ではミカエルと名乗り、男の子として地元の子どもたちのコミュニティに入り、妹ジャンヌ(マローン・レヴァナ)にもお兄ちゃんだということにしてもらう。集合住宅で一番、人気のある女の子であるリザ(ジャンヌ・ディソン)と親しくなり、ガールフレンドもできたミカエルだが、やがて自宅では女の子だということがみんなにバレてしまう。
ロール/ミカエルのアイデンティティがけっこうミステリアスかつ複雑で、それをそのまんま提示しているというのがこの映画の面白いところだと思う。トランスジェンダーの男の子なのかもしれないし、ノンバイナリの子なのかもしれないし、大きくなったらブッチなレズビアンになる子なのかもしれないし、そのどれでもないのかもしれない。そのあたりは全くわからないし、子どもなので本人もあんまり自覚していないのかもしれないが、とにかくジェンダー規範にあてはまらない子で、そういう子どもをあまり型にはめないように、複雑なものをそのまま単純化せずに描いている。もちろんこれは極めてクィアな映画であり、クィアなアイデンティティがテーマの作品なのだが、複雑でとっちらかった子ども時代をそのまま複雑かつ丁寧に描いているという点では、子どもの心理一般を描いた映画としてとてもよくできている気がする。
子役たちの演技が大変上手で、とくに主役のエランはびっくりするほどはまっている。終盤でロール/ミカエルが母親によって女の子としての型にはめられるところはとても可哀想で、主人公の惨めな気持ちがありありと感じられる。郊外のかなり緑があるところで子どもたちが遊ぶ様子を生き生きと撮っており、森や湖など、地理的な境界になる場所をロール/ミカエルのアイデンティティと重ねてうまく使っているところも良い。小さな子どもたちが恋バナをしたり、小さくてもカップルになっているあたりがフランス映画っぽいと思った(ちょっとステレオタイプなフランス観かもしれないが、フランス映画って小さい子でもしっかり恋愛をするのだということを当たり前のこととしてきちんと描く傾向があり、そこは良いところだと思う)。
新刊の試し読み公開・増刷・アトロク出演時の音声公開
新刊『批評の教室―チョウのように読み、ハチのように書く』が増刷されました。また、新刊の試し読みが朝日のじんぶん堂で公開されました(公開箇所はちくまサイトでの公開箇所と同じです)。
また、アトロク出演時の音声も公開されました。
『In Red』に新刊紹介がのりました
『In Red』2021年11月号に新刊『批評の教室 ――チョウのように読み、ハチのように書く』の紹介が載りました。135ページで、石井千湖さんが書いてくださっています。