森新太郎

正統派の若々しい上演~東京グローブ座『ロミオとジュリエット』

東京グローブ座で森新太郎演出『ロミオとジュリエット』を見た。 www.romeoandjuliet2021.jp 以前に同じ東京グローブ座で森新太郎がやった『ハムレット』同様、全体で3時間以上ある。ふつうの『ロミオとジュリエット』に比べるとかなりカットが少ないのだが…

正面を向いて叫ぶだけの演出はやめよう~『メアリ・スチュアート』

シラー作、森新太郎演出『メアリ・スチュアート』を見てきた。シラーによる古典的作品で、主題としてもスコットランド女王メアリ(長谷川京子)の処刑までを、エリザベス1世(シルビア・グラブ)との関係を中心に描くという歴史ものの定番を扱っているので、とく…

とにかく長いが、話の流れを考えてカットしている~東京グローブ座『ハムレット』

東京グローブ座で『ハムレット』を見てきた。森新太郎演出で、ハムレット役は菊池風磨である。 www.hamlet2019.jp セットは比較的シンプルなのだが、とにかくいっぱい回転する。最初にクローディアスが臣下の前でハムレットにヴィッテンベルクに帰らないよう…

「オタサーの姫」としての藤原竜也~東京芸術劇場『プラトーノフ』(少しネタバレあり)

チェーホフ作、森新太郎演出『プラトーノフ』を東京芸術劇場で見てきた。初めて見る芝居である。チェーホフの初期作で生前は上演されておらず、そもそもタイトルもなかったらしい。原作をノーカットでやると5時間くらいかかるそうだが、このプロダクションは…

死ぬまでの間延びした時間~世田谷パブリックシアター『The Silver Tassie 銀杯』

世田谷パブリックシアターで森新太郎演出『The Silver Tassie 銀杯』を見てきた。ショーン・オケイシーの有名作だが日本初演らしい。私もナショナル・シアターの公演をアーカイヴで見たことあるだけで、生で見るのはこれが初めてである。 これは第一次世界大…

日本で女形についての芝居をする意外な難しさ~『クレシダ』

ニコラス・ライトの芝居『クレシダ』を見てきた。森新太郎演出である。 1630年代のロンドン、オールメールシアター。役者としての自信を失ったジョン・シャンク(平幹二朗)は女役の少年俳優の訓練をしていた。『夏の夜の夢』に妖精役が必要なので修行中の少年…

キツい物語に的確な演出〜『BENT』(ネタバレあり)

世田谷パブリックシアターでマーティン・シャーマン『BENT』を見てきた。ナチスによる同性愛者迫害をとりあげた大変有名な戯曲で、映画化もされている。今回は森新太郎演出、佐々木蔵之介主演である。 主人公のマックス(佐々木蔵之介)はベルリンでのらくら生…

もう少し田舎くさいほうが…『イニシュマン島のビリー』(ネタバレあり)

マーティン・マクドナー作、森新太郎演出の『イニシュマン島のビリー』を見てきた。この作品はダブリンでドルイドカンパニーの上演を見たことがある(ダニエル・ラドクリフ版は見ていない)。 1930年代はじめのアイルランド、ロバート・フラハティ監督がドキュ…

リアルIRA〜世田谷パブリックシアター『ビッグ・フェラー』

世田谷パブリックシアターで森新太郎演出の『ビッグ・フェラー』を見てきた。これ、ロンドンで初演を見て、訛りまくった英語がよくわからなかったわりには非常に面白かったのだが、あんまりお客さん入ってなかった…んだけど、セタパブ公演はほぼ満席でびっく…

医学は幽霊を殺すか?〜シアターコクーン『幽霊』

シアターコクーンでイプセンの『幽霊』を見てきた。森新太郎演出で、安蘭けい主演。イプセンは『人形の家』と『ヘッダ・ガブラー』は見たことがあるのだが、『幽霊』は初めて見た。 舞台は19世紀末のノルウェーのどこかの島。故アルヴィング男爵を祈念する孤…