ブロンテ

嵐が丘で食べるヴィクトリアスポンジ~ワイズ・チルドレン『嵐が丘』(配信)

ワイズ・チルドレンの『嵐が丘』を配信で見た。エマ・ライスの演出によるミュージカルで、ナショナル・シアター、ブリストル・オールド・ヴィック、ヨーク・シアター・ロイヤルが協力している。 www.wisechildrendigital.com 椅子などを使ったシンプルなセッ…

『yom yom』66号に『嵐が丘』論を寄稿しました

『yom yom』66号に『嵐が丘』論を寄稿しました。書誌情報は以下の通りです。 北村紗衣「結婚というタフなビジネス(5)嵐が丘のクィア・ドリームズ」『yom yom』66、2021年2月号、148-153。 yom yom vol.66(2021年2月号)[雑誌] 作者:武田綾乃,橘蓮二,朱野帰…

『yom yom』65号に『ジェーン・エア』の記事が出ました

『yom yom』65号にミニ連載「結婚というタフなビジネス」第4回として『ジェーン・エア』の記事が出ました。書誌情報は以下の通りです。 北村紗衣「結婚というタフなビジネス(4) 結局は結婚する、ただし条件つきで」、『yom yom』65号(2020年12月):172 - 1…

散らばる紙~サザーク劇場Wasted (配信)

サザーク劇場のWastedを配信で見た。ブロンテきょうだい(ブランウェルを含むので)を描いたミュージカルである。2018年に上演された作品だ。 southwarkplayhouse.co.uk 四角いセットで真ん中からコードがつながったマイクが出ていて、各出演者はこの草みたい…

どうしてもナショナルシアターと比べてしまう…ブラックアイドシアター『ジェーン・エア』(配信)

ブラックアイドシアター『ジェーン・エア』を配信で見た。ブラックアイドシアターはバークシャのブラックネルにある劇場である。ニック・レインがシャーロット・ブロンテの原作を脚色したもので、エイドリアン・マクドゥーガル演出である。2019年から2020年…

シンプルで現代的な上演~ナショナル・シアター『ジェーン・エア』(配信)

ナショナル・シアター・ライヴがナショナル・シアター・アット・ホームとしてウェブ配信している『ジェーン・エア』を見た。 www.youtube.com 木枠みたいな2段になっているシンプルなセットがあるだけで、衣装も簡素なもので、ヴィクトリア朝風のお屋敷など…

messy連載二回目、『嵐が丘』について書きました

messyの連載「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」第二回として「腐女子が読む『嵐が丘』〜関係性のセクシーさを求めて」を書きました。『嵐が丘』をどうやらセクシーな小説だと思わない人がいるらしい、という話から「腐女子みたいに読めばいい」という話にな…

ヨークシャ(1)蒸気機関車に乗り、ブロンテの世界、ハワースへ

コーンウォールからヨークシャに移動した。ヨークシャではハロゲイトで行われるギルバート・アンド・サリヴァン・フェスティバルを取材するのが主目的なのだが、ハロゲイトは便利なところにあるため、近隣の文学関連史跡をけっこう訪れることができた。 まず…

苦悩のヒースクリフ、狂気のキャサリン〜『嵐が丘』

日生劇場でG2演出『嵐が丘』を見てきた。主演はキャサリン役が堀北真希、ヒースクリフ役が山本耕史である。 場面については後ろにスロープがあり、前でアクションが展開されるようなセットのほか、嵐が丘及びスラッシュクロス屋敷の屋内セットが入れ替わる。…

新作映画『嵐が丘』を見てきた〜なんでゴシックホラー大河大ロマンスをリアリズムごときで撮るの?

エミリー・ブロンテ『嵐が丘』の新作映画化作品を見てきた。出来はいいと思うのだが、全体的にテキストをすごく即物的に映像化した感じで、台詞も少なく寡黙である。 この映画化の一番の特徴は、初めて黒人の男優がヒースクリフを演じる映画だってことである…

アリスからジェーンになったミア・ワシコウスカ〜『ジェーン・エア』

ケイリー・ジョージ・フクナガ監督による『ジェーン・エア』映画化最新版を見てきた。かなり良かった。 今回の映画化はフラッシュバックを使って時系列をバラしてあるが、あらすじ自体はかなり原作に忠実である。単に話をきちんと追っているだけではなく、原…

ケイト・ブッシュの『嵐が丘』解釈にもの申す

ケイト・ブッシュの曲で、「嵐が丘」(Wuthering Heights)という大ヒット曲がある。(ビデオが怖いので注意) もちろんこの曲の元ネタはエミリー・ブロンテの『嵐が丘』で、私は小説もこの歌もとても好きなのだが(高校生の時にこれを聴いてて母に「何サンマの『…

ジェーン・オースティンとシャーロット・ブロンテとゾンビについて

全然知らなかったのだが、昨日友人に「『高慢と偏見とゾンビ』という小説が出るらしいですよ」と教えてもらった。検索してみたらなんかすごいことになっている。 高慢と偏見とゾンビ どうやら、原作の話はだいたいそのままで、なんかメリトンの街がゾンビに…